
スマートフォンなどのバッテリーを充電するとき、フル充電まで何時間もかかってしまうものですが、数秒でフル充電可能にする電池ををコーネル大学のウルリッヒ・ウィーズナー教授の研究チームが開発しました。
研究チームが開発した電池の仕組みは以下の画像の構造となっています。電池内に負極(灰色)と正極(青色)を構成する自己集合性の3次元らせん構造の物質を置き、その間に非導電のセパレーター(緑)を配置します。この構造を作ることで、各電極に存在する数千ものナノスケールの細孔を使用して、エネルギーの充電と送達が行えるようになるとのこと。

負極には炭素の薄膜を使用しており、40ナノメートル台の細孔が数千個存在しているそうです。研究チームは、これらの細孔を絶縁性でかつイオンを通すことができる10ナノメートルのセパレータで覆うことで穴のない層を作り上げました。この細孔が残ってしまうと、スマートフォンなどのデバイスで火災が発生する原因になるため、「穴をふさぐことは重要な要素である」と研究チームは述べています。
また、電池の正極部分は電子を受け入れることができ、電気を通さない物質である硫黄が使用されています。研究チームによると、硫黄はセパレータのみで細孔を全て埋めることができない量を使用しているとのこと。そこで、残りの部分は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)として知られる導電性ポリマーを使って細孔を埋めています。
ウィズナー氏は「電池の構造をナノスケールに縮小したことで電力密度を大幅に高めることが可能となり、従来の電池よりも、はるかに短時間でエネルギーを取り出すことができます」と語っており、大きな利点があることを強調していますまた、ウィズナー氏はナノスケールの利点がデバイスの充電時間にもあるとして「ほんの数秒、おそらくもっと早く充電することが可能です」と述べています。
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