
月面の水分布を示す地図が、米国ブラウン大学の科学者たちによって作成・発表された。
月面の水分布地図が作成されたのは科学史上初めてのこと。これによって、NASAが計画している月面基地の予定地が決めやすくなったといえる。
光線スペクトル分析から作成
この水分布地図は、インドの人工衛星「チャンドラヤーン1号」に搭載された月面鉱物マッピング装置(Moon Mineralogy Mapper)が収集したデータから作成された。
月面鉱物マッピング装置はNASAが開発したもので、光のスペクトル分析から、月面の浅い部分にある水の分子や水酸基などの量を計測することができる。
「月の北極南極にしか水はない、とこれまで考えられていましたが、今回の分析で、月面の全てに水の存在を示す証拠があるとわかりました」
発表された水分布図を作成した米国ブラウン大学の科学者、Shuai Li氏は、同大学のニュースリリースの中でこう言っている。
「存在する水の量は月面の地形には関わりなく、北極南極(地図の上と下)に近づくにしたがって増えています」

(紫、青、緑、黄の順にH2Oの量が多くなっている。単位はppm。上が北極、下が南極。黄色い点はアポロ宇宙船の着陸地点)
ただし、水があるといってもごく微量で、最も多い極地でも地球の砂漠にある量と同程度とのこと。
人の飲み水になるのか?
「分布図によって水の在処が分かった今、その微量な水をどうやって集め、抽出し、宇宙飛行士の飲み水や燃料として利用するかが課題です」NASAとの共同研究を続けているブラウン大学のRalph Milliken准教授は、海外メディアにこう語っている。
NASAの月面基地建設計画は現在のところ中断された状態だが、月面の水を利用できるとなれば再び動き出す可能性は高い。
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