
実は生命は違うところに存在している?
人類は地球外知的生命体との遭遇を夢見て、これまでかなりの宇宙探査を進めてきました。科学技術の進歩によって、以前ならば考えられなかった先の先まで見通せる望遠鏡が整ったほか、太陽系の果ての果てにまで飛んだ探査機だってあります。でも、いまだに宇宙人との出会いを示す確たる発見はされていませんよね…。
この広い宇宙で、生命は地球上にしか存在しないのでしょうか? まだなにも見つかっていない以上、現時点で、この質問への答えは、地球だけが特別な星だということにしかならないでしょう。とはいえ、このほど電子ジャーナルの「Journal of Cosmology and Astroparticle」に、異なる観点から地球外知的生命体の探査を進めなければならないとの意見をまとめた論文が掲載されましたよ。
太陽の周りを周回する地球にだけ、生命が存在してきた特異性。それゆえに、これまでの宇宙人探査は、主に太陽に似た恒星を探し、その周りに生命の存在する可能性があるハビタブルゾーンを備えた惑星がないかを探索する方向性で進められてきました。もちろん、そのアプローチは決して誤りではなかったでしょう。
われわれこそが、もっとも一般的な生命体であると考えがちなのは自然なことだ。そもそも、ほかの形の生命体など知る由もなかったのだから。それゆえに、太陽に似た恒星の周囲に生命が誕生した可能性が高いとの仮定に、多くの人々がとらわれてきた。
同論文の発表に携わった、ハーバード大学のAvi Loebは、このように語っています。ところが、ハビタブルゾーンを備える惑星は、もっと太陽よりも小さく低温の「低質量星」の周囲にも存在すると仮定するならば、これまでよりもっと多くの可能性が生まれるとの持論が披露されていますよ!
宇宙には、太陽よりも大きく、さらに高温で輝く恒星も数多く存在しているものの、ほとんどの恒星は、太陽より小さくて低温で輝いているそうです。地球と太陽の距離ほど遠くはない、低質量星に非常に近い軌道を周回する惑星上であれば、液体の水が理論的には存在し得るでしょう。しかも、こうした低質量星は、太陽の寿命より1000倍以上も長く輝き続けられるため、その周囲にハビタブルゾーンがある惑星に生命が誕生するまでの時間も、じっくりと取ることができると指摘されています。
まるで地球上に生命が存在してきたように、低質量星の周辺に生命が存在可能と仮定するとしよう。そうなると、これから10兆年先までに、そこへ生命が誕生する可能性は1000倍も高まるとの計算が成り立つ。
Loebは、こんなコメントを発表して、宇宙人探査の新たな方向性を掲げています。つまり、人類が宇宙人と出会えていないのは、これから時間をかけて誕生してくるのに先走って探してきただけかもしれませんし、単に探す場所の見当が外れていたのかもしれません。
いずれにせよ、さまざまな低質量星の周囲の惑星にターゲットを定めた研究も、今後は進むことでしょう。意外と太陽には似ていなくても、低質量星がハビタブルゾーンを生み出せるならば発見が進めば進むほど、新しい可能性は広がることになりそうです。これまで考えられていたよりも近くに、地球から移住できそうな惑星だって見つかるのかも。
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