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探査機ロゼッタ、彗星に着陸して最後のミッション


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2014年11月、人類は初めて彗星に探査機を着陸させることに成功しました。着陸機のフィラエはその後すぐに交信を絶ってしまいましたが、相棒の探査機ロゼッタはその後約2年間、彗星の上空から数多くのデータを地球に送り続けてきました。でもそのミッションもついに最後の時を迎えようとしています。この9月末、ロゼッタは彗星に着陸し、その後最後のデータ収集に取りかかろうとしているんです。

最近、欧州宇宙機関(ESA)は、ロゼッタの着陸予定場所の画像を公開しました。それは、ふたつの岩を合体させたように見えるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の、小さいほうの岩の先端近くです。その場所の名前は、無事の着陸を祈るためか、調和や秩序を司るエジプトの女神にちなんで「マアト(Ma'at)」と名付けられています。

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マアトには石がゴロゴロ散らばった鳥肌のように見える部分と、真っ暗で深そうな穴があり、そこからは激しいガスやほこりが吹き出しているそうです。見るからに荒涼としていますが、だからこそ探査する価値があり、ここからチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の形成を理解するためのカギが見つかるかもしれません。

「マアトの穴は、壁の内側の構造が変わっています。壁の表面が、3mのボールをくっつけ合わせたみたいになっているんです」とロゼッタミッションの研究者、Laurence O'Rourkeさんが米Gizmodoに語っています。「我々はこれを、彗星が形成されたときの名残だと考えています」とのこと。

「ロゼッタにとっての重要な問いは、彗星がいかに彗星になるのかということです」と、ロゼッタプロジェクトのMatt Taylorさんも付け加えます。「小さな氷のかたまりがいかにしてより集まり、凝固し、まとまっていくのでしょうか? この「鳥肌」とも言われ、私は「トカゲの皮」のようだと思う場所の精細な画像を撮ることが、その答えを出すために役立つかもしれないんです。」

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予定では、ロゼッタは9月29日に降下を始め、30日に着陸します。そのとき、搭載されたカメラシステム「OSIRIS」は彗星上の複数の穴をより良く捉えるべく角度を合わせ、地球との交信を絶つまでの間詳細な画像を撮りまくります。

「我々は最後になるべく多くのデータを集めようとしています。このミッションの中で最高の解像度の画像を撮りたいんです」とTaylorさんは希望を語ります。

ロゼッタは最後に、これまたエジプトにちなんでディール・エル=メディナとよばれている幅130mの穴のわきに到着する予定です(ちなみにディール・エル=メディナはエジプトの遺跡で、「王家の谷」にある墓たちを作った職人の住む村でした)。ロゼッタは穴の中には入り込まず、ディール・エル=メディナが横目で見える場所に降り立とうとしています。Taylorさんは、「そうすればすべてより良く見えるはず」と言っています。

カメラ以外の機器も最後の仕事をします。質量分析計は、「ネコのおしっこみたい」と言われる大気中の物質をかぎまわります。また大気中のホコリも取り込み、太陽風に対する地表の反応もプラズマ計測器で記録します。「これは科学にとって、とても大きなボーナスです」とTaylorさんは期待をにじませます。

ロゼッタが最後を迎える場所マアトは、最近見つかったフィラエと同じかたまり側にあります。だから予定通りなら、フィラエとロゼッタは最後に数kmの距離に近づけることになります。これまで応援してきたロゼッタのミッション終了は寂しいのですが、終わった後もロゼッタとフィラエはひとりじゃないんだ…と思うと、なんだかほっとします。最後の仕事がつつがなく進むことを祈ります!



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