
中国が建設していた世界最大の電波望遠鏡が完成しました。Xinhuaによれば、300人の「建設者、専門家、SF愛好家やレポーターたち」がこの「500メートル球面電波望遠鏡」(Five hundred meter Aperture Spherical Telescope、略してFAST)の設置を見守りました。このFASTがあるのは中国南西部の貴州省、プロジェクトの完成までには約12億人民元(約184億円)と5年の年月が費やされ、反射鏡部分はサッカー場30個分ほどあります。
世界最大の電波望遠鏡であるFASTは、世界で2番目に大きいプエルトリコにある電波望遠鏡と比べると2倍も大きいんです。中国の科学者によって初期段階の研究に数年間使われたのちに、もっと幅広く使われる予定となっています。FASTは重力波やパルサーなどを感知することが可能なほか、将来的にはほかの星のアミノ酸なども検出できるようになるんだとか。
中国科学院国家天文台の研究者Li Diはこう語っています「FASTはより遠く、より暗い星々を見ることが可能で、FASTで宇宙人文明を発見する可能性はこれまでの設備の5から10倍高い」と語っています。
しかしFASTを建設するにも犠牲は必要でした。建設地を確保するために中国政府はこの地域に住む9,000人以上を強制退去させましたが、移転に伴い支払われた費用は20万円程度。そんな大勢立ち退かせるのか…なんて思われるかもしれませんが、中国は人を強制退去させてきた歴史も長く、1970年代以降4000万人が立ち退かされてきたと言われており、そう考えれば9000人は少ない数字かもしれません。
2015年にヒューゴー賞を受賞している中国のSF作家、劉慈欣(りゅう じきん)は「科学者たちが画期的な発見をしてくれるよう願う」と話しています。
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