
溶けゆく氷河、環境問題の象徴としてよくニュースになりますよね。特にグリーンランドの氷河は急速に溶けて氷面下にあった川や湖の水が海に流れ出しており、世界中の都市の一部を水没させてしまう可能性があるとして恐れられています。
そんな中、イギリスのリバプールで開かれた微生物学会(Microbiology Society)カンファレンスでアベリストウィス大学はさらなる事実を発表しました。
どうもPhormidesmis属の「光合成をする微生物」が黒ずみを氷河の上に発生させることで氷を急速に溶かしていってるようです。
この微生物は太陽光を浴びると、大気を伝わって雪へと入りこんだ汚染物質や塵などを集めてクリオコナイトと呼ばれる黒色の粒子を生み出します。
クリオコナイトのせいで氷河の表面は黒っぽくなり、それによって氷河は太陽光を反射せず吸収しやすくなってしまいます。そのため太陽の熱によって水たまりが形成されるわけですが、なんと下へと深くならずに浅いまま横へ横へと広がってしまうそうです。なぜか?
微生物は光合成をしないといけないわけですから浅いところを中心に繁殖をするからです。
そうして水たまりが横に広がることで微生物はさらに増え、さらに水たまりが大きくなり...と氷河が溶けるプロセスがどんどんと加速していくわけですね
人間によるダメージだけで十分事態はまずくなってると思ったら、微生物も手伝ってるとは...怖ろしいです。
研究チームを率いるArwyn Edwards博士は次のように述べています。
微生物はエコシステムを作り変える能力を持っています。気候変動が原因で、生物学的に生産性の高い氷河や氷床が広がるにつれて、これらの微生物によるプロセスは溶解にもっともっと影響を与える可能性があります。長期的に見ると、これは氷河環境の損失と、そこに生きる独自の微生物の生物多様性の損失に寄与するでしょう。
発泡スチロールを分解してくれたり、極小ロボットをコントロールしてくれたり、これからの人類の希望として注目されている微生物ですが、もちろん我々にとって困った働きをしている奴らもたくさんいるってことですね。
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